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Singin' in the Rain とりかえしのつくこと、つかないこと

とりかえしのつくこと、つかないこと

父が亡くなった。

危険になったから・・・と家族も泊まれる部屋に移り、母と一晩泊まった翌日だった。

一晩中、父は手をばんばんと振る動作をして、その勢いで酸素マスクをはずしたり

ベッドの柵に打ちつけたりするものだから、手を布で、ある程度の余裕を持って縛られていた。

その夜は我々も父も、数時間寝ただろうか。

翌日は弟も駆けつけ、妹の子どもたちをはじめ、たくさんの人が父と対面した。

父は苦しい息の中、何かを話そうとしていた。

問いかけにはかすかに首をふって答えた。

手を握ったら力強く握り返してきた。

今思えば、あれが父の最後のメッセージだったのかもしれない。


弟にその夜は任せるつもりで母と一旦自宅に帰ったが、数時間後また病院に呼び戻された。

急激に呼吸が弱まり、心拍もどんどん落ちてきていた。

今までとまったく違う状況だった。


我々3人はベッドの回りに集まり、父を見守った。

母は左手、私は右手を握っていた。握手の時のように、力強く握っていた。

「ありがとう・・・」というのがやっとだった。

母も弟も、言葉は出てこなかった。

私は正直ほっとした。泣き叫んで取り乱す姿は見たくなかったからだ。

悲しみの表現は人それぞれだと思うが、芝居じみた騒がしさで父を送りたくはなかった。

3人はただ父の弱弱しく息を吸う喉元を見ていた。

父は・・・ちゃんと状況をわかっていて、最後までがんばっていたように思う。

でも、別室で様子をうかがっていた看護師が、血圧を計りに来て、腕を圧迫した途端

父は少し大きめの息をして、二度と呼吸をしなかった。

その時ちょうど0時。


奇しくも、5月19日は父の初孫、リョウの21回目の誕生日だった。


それから葬儀までは、とても二日間とは思えない長い長い時間だった。

二日間は家で寝てなかったので、日にちや時間の感覚もなくなっていた。


父がこの世にいないなんて、何度も何度も頭の中で確認しないと受け入れられない事実だった。

人の命が消えゆく瞬間を見届けた人は、私と同じく、人生観のようなものが変わるのじゃないだろうか。

「亡くなった。」という事実をただ聞かされたこととは、大きく違っていた。

人は、これを受け入れるだけの能力を備えているのだろうか。

私にはその容量が足りない気がした。

きっと心の傷として、一生持ち続けていくのだろうな・・・。


そしてずっと、「ああすればよかった」といろんなことを思い返しては、後悔するんだろうな。

お父さん、全然親孝行できなくてごめんなさい。

お父さんのこと、これからもたくさん思い出して、心の中で話しかけるね。

お母さんのことはみんなで支えていきます。


本当に、ありがとうございました。
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ジャンル : 学問・文化・芸術

     

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のりゴロー

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興奮してネタバレしてるのでご注意ください

劇団四季は子どものころから好きです

映画も好きです

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手相を見て言われました・・・

歳をとっても変わらないみたいです(苦笑)

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